東京地方裁判所 昭和43年(借チ)2129号・昭44年(借チ)2007号 決定
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〔決定理由〕二、右譲渡の対価について検討する。
(一) 借地権の価格
鑑定委員会は本件土地の更地価格を3.3平方米あたり一三万五、〇〇〇円、借地権価格をその約六七%にあたる九万円と評定している。当裁判所も右評価を相当と認めるところで本件借地の面積について、契約上は六六、一一平方米(二〇坪)であるが、実測面積については賃借人八木は72.28平方米(21.86坪)であると主張し、賃貸人石野は69.42平方米(二一坪)であると主張する。
このように契約上の面積と賃借人が現実に使用している面積との間に若干のくいちがいがあるが、本件においてはこれまでの賃料月七〇〇円および現借地人八木が昭和三八年三月一五日前借地人岸田常三から借地権を譲り受けた際岸田が支払つた名義書替料二〇万円のいずれも契約面積によつたものと認められるので、同一当事者間において借地権譲渡の対価を定めるにあたつては右契約面積によるのが相当である。したがつて本件土地の借地権価格は一八〇万円とする。
(二) 建物の価格
鑑定委員会は本件建物の価格を四万円と評定している。当裁判所は右意見を参考とし、なおその昭和四三年度固定資産税課税評準価格が七万一、五〇〇円であること、当事者の意見等を参酌し、その価格を七万円とするのを相当と認める。
(三) 譲渡の対価
右は借地人が第三者に借地権と建物を譲渡する場合の価格である。賃貸人がこれを買受ける場合は、第三者に譲渡を許可する場合に賃貸人に対する一定の財産上の給付を命ずべき場合であれば、その金額を右の第三者への譲渡価格から控除した金額をもつて賃貸人への譲渡の対価とすることが相当と考えられる。鑑定委員会は本件につき第三者への譲渡を許可する場合は賃貸人に対する財産上の給付を命ずべきであるとし、その金額を前記更地価格の一割にあたる3.3平方米あたり一万三、五〇〇円を相当と評定している。これに前記契約上の借地面積を乗ずれば二七万円となる。当裁判所も、本件について、借地人が借地権を取得した昭和三八年三月以後その価格が周囲の状況等により相当急激に上昇したと認められること、前記のとおり前借地人岸田が借地権譲渡に際し賃貸人に二〇万円を支払つていること、借地人八木も本件申立前第三者への譲渡承認の対価として譲渡価格の八%を支払う旨賃貸人に申入れていること本件借地の賃料は昭和三七年六月以降月七〇〇円に据置かれ、これは現在では年額として鑑定委員会の評価による底地価格の一%に満たないものであること等の点をも参酌し右鑑定委員会の意見を相当と認める。したがつて、賃貸人が本件借地権および建物を譲受ける対価としては前記第三者に譲渡すべき場合の相当価格一八七万円から、その場合賃貸人に支払うべき給付額二七万を控除した一六〇万円を相当と認める。
よつて主文のとおり決定する。(白石悦穂)
(一) 土地
東京都世田谷区三宿二丁目二五二番二
宅地 一六七、五三平方米の内
六六、一一平方米(二〇坪)
(二) 借地権
右土地を目的とし、賃貸人を石野安男、賃借人を八木明とする普通建物の所有を目的とする賃借権
(三) 建物
右地上に存する。
家屋番号四三一番二
木造杉皮葺平家建居宅
床面積 登記簿上 二九、七五平方米(九坪)
実測 四七、一〇平方米(一四、二五坪)